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題名:近代日本は「構造的」に腐る
副題:攻殻機動隊から読む文治主義の危険性

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◈ 古きに学び、今を照らす:古書現代小説編
本シリーズは、古書や古典作品の構造と情感を尊重しながら、現代人が解読・考察・研究できるよう再構築した作品です。古にある論理学の宝を、より身近に、そしてより実践的に。本書が、その入口となれば幸いです。

◈ 本書のあらすじ
 文治主義は、武断主義よりも穏やかに見える。だが、文治主義にも影がある。法律は人を守ることもできるが、運用しだいで人を黙らせることもできる。道徳は社会を温めることもできるが、正義の名で人を焼くこともできる。制度は命を救うこともできるが、責任を分散させ、誰も悪人ではないまま、取り返しのつかない悲劇を生むこともある——
 本書は、士郎正宗先生の漫画、押井守監督のアニメ映画・神山健治監督のアニメシリーズを入口として、『攻殻機動隊』の物語世界を追いつつ、佑中字(うちゅう・じ)の独自理論である「三元道」を用いながら、近代日本(明治維新〜現在と定義)に繰り返し現れた「構造的欠陥」を読み解く社会思想エッセイである。
 薬害エイズ事件、旧優生保護法、足利事件、ハンセン病隔離政策、外国人技能実習制度、年金記録問題、桶川ストーカー殺人事件、袴田事件、関東大震災時の虐殺、特攻・関東軍・731部隊、水俣病、薬害C型肝炎事件、福島第一原発事故、JR福知山線脱線事故、湖東記念病院事件など、本書で扱う事件・事故は多岐にわたる。
 本書が真に問うのは、単なる「悪人探し」ではなく、あくまでも「構造的欠陥」である。
 なぜ、その場にいた人々は止められなかったのか。
 なぜ、制度は被害者を守るより先に、自分自身を守ろうとしたのか。
 なぜ、組織は人間の痛みを、管轄、前例、書類、専門用語、会議、稟議、報告書の中へ閉じ込めてしまうのか。
 そして、なぜ社会は事件のあと、構造を直すより先に、誰かを吊るし上げる「過剰正義」へ走ってしまうのか。
 『攻殻機動隊』が描いてきた電脳、義体、ゴースト、AI、国家、情報戦、ネットワークの問題は、もはや遠い未来の空想ではない。それは、すでに近代日本の制度、行政、企業、医療、司法、福祉、学校、報道、世論の中で起きてきた問題でもある。人間を守るはずの殻が、いつしか人間のゴーストを閉じ込め、押し潰してしまう。
 人を責める前に、器を問え。
 制度を語る前に、その外側で泣いている人間を見よ。
 正義を叫ぶ前に、同じ悲劇を生む構造を読め。
 このように『攻殻機動隊』を読むことは、いまここにある人間社会の歪みを見つめ直し、次の構造を少しでもましに組み直すための、静かな警世にもなるのだ。

◈ 目次
はじめに
『論語・現代篇』
#01 未来の殻と、知らされなかった身体
 PROLOGUEから読む、薬害エイズ事件と構造的欠陥
#02 福祉の殻で、ゴーストを潰すな
 SUPER SPARTANから読む、袖ヶ浦福祉センター虐待死事件
#03 偽りの記憶を、魂に植えるな
 JUNK JUNGLEから読む、足利事件と構造的欠陥
#04 偽身体を部品として扱うな
 MEGATECH MACHINEから読む、旧優生保護法と構造的欠陥
#05 魂を商品にしてはならない
 ROBOT RONDOから読む、ジャニーズ性加害問題と沈黙の構造
#06 見えない金は、人の命を吸う
 PHANTOM FUNDから読む、森友公文書改ざんと構造的欠陥
#07 成果のために、魂を売るな
 DUMB BARTERから読む、稲葉事件と構造的欠陥
#08 粘土の殻ではなく、人間を見よ
 BYE BYE CLAY/BRAIN DRAINから読む、ウィシュマさん入管死亡問題
#09 境界を越える魂、境界に閉じ込められた人
 GHOST COASTから読む、ハンセン病隔離政策と構造的欠陥
#10 犯人らしい影を、人間に着せるな
 FAT CATから読む、松本サリン事件報道被害と構造的欠陥
#11 科学の果てに、命を置き去りにするな
 MAN-MACHINE INTERFACEから読む、JCO臨界事故と構造的欠陥
#12 ネットが世界を覆っても、人間は部品ではない
 『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』から読む、外国人技能実習制度と構造的欠陥
#13 子どもの声を、沈黙の部品にするな
 『イノセンス』から読む、野田市小4女児虐待死事件と構造的欠陥
#14 記録が壊れると、人は制度の中で消える
 『攻殻機動隊 S.A.C.』第1話「SECTION-9」から読む、年金記録問題と構造的欠陥
#15 助けを求める声を、管轄の谷に落とすな
 第2話「TESTATION」から読む、桶川ストーカー殺人事件と構造的欠陥
#16 理想の人形を、人間に着せるな
 第3話「ANDROID AND I」から読む、木村花さんSNS中傷問題と構造的欠陥
#17 正義の機関が、真実を改ざんするな
 第4話「INTERCEPTER」から読む、大阪地検特捜部証拠改ざん事件と構造的欠陥
#18 真実の代わりに、人を差し出すな
 第5話「DECOY」から読む、袴田事件と構造的欠陥
#19 デマという仮面を、正義の顔でかぶるな
 第6話「MEME」から読む、東名高速あおり運転デマと構造的欠陥
#20 偶像の夢で、尊厳の声を消すな
 第7話「IDOLATER」から読む、フジテレビ性加害問題と構造的欠陥
#21 患者を、医療体制の部品にするな
 第8話「MISSING HEARTS」から読む、赤穂市民病院医療事故と構造的欠陥
#22  匿名の仮面で、人を消すな
 第9話「CHAT! CHAT! CHAT!」から読む、スマイリーキクチ中傷被害事件と構造的欠陥
#23 悪夢を、弱い者へ押しつけるな
 第10話「JUNGLE CRUISE」から読む、関東大震災時の虐殺と構造的欠陥
#24 閉じた施設に、魂を置き去りにするな
 第11話「PORTRAITZ」から読む、滝山病院事件と構造的欠陥
#25 現実へ帰れと言う前に、帰れる現実をつくれ
 第12話「ESCAPE FROM」から読む、ひきこもり支援ビジネスと構造的欠陥
#26 家族を、子どもの檻にするな
 第13話「NOT EQUAL」から読む、目黒区5歳女児虐待死事件と構造的欠陥
#27 利益を、亡霊にするな
 第14話「¥€$」から読む、ビッグモーター事件と構造的欠陥
#28 人間を、命令の機械にするな
 第15話「MACHINES DESIRANTES」から読む、特攻・関東軍・731部隊と構造的洗脳
#29 英雄を、暴力の免罪符にするな
 第16話「Ag₂O」から読む、桜宮高校体罰自殺事件と構造的欠陥
#30  天使の取り分を、闇の取り分にするな
 第17話「ANGEL’S SHARE」から読む、東京五輪汚職・談合事件と構造的欠陥
#31  記憶を、復讐ではなく未来へ渡せ
 第18話「LOST HERITAGE」から読む、大川小学校津波訴訟と構造的欠陥
#32 真実を、政治の都合で消すな
 第19話「CAPTIVATED」から読む、北朝鮮による日本人拉致問題と構造的欠陥
#33 猛毒を、利益の底に沈めるな
 第20話「RE-VIEW」から読む、水俣病と構造的欠陥
#34 リストを、人間の墓にするな
 第21話「ERASER」から読む、薬害C型肝炎事件と構造的欠陥
#35 組織の都合で、人権を踏み潰すな
 第22話「SCANDAL」から読む、志布志事件と構造的欠陥
#36 仮面で、欠陥を隠すな
 第23話「EQUINOX」から読む、三菱自動車リコール隠しと構造的欠陥
#37 言葉遊びで、真実をねじ曲げるな
 第24話「ANNIHILATION」から読む、福島第一原発事故と炉心溶融公表遅れ問題
#38 犠牲を、美談で終わらせるな
 第25話「BARRAGE」から読む、JR福知山線脱線事故と構造的欠陥
#39 好奇心を、冤罪の闇に沈めるな
 第26話「STAND ALONE COMPLEX」から読む、湖東記念病院事件と構造的欠陥
#40 付録:その後のナンバリングシリーズ
 『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』——国家が火種を育て、英雄が燃やされるとき
 『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY』——福祉の空白に、電子の神は宿るか
 『攻殻機動隊 ARISE』——そのゴーストは、誰のものか
 『攻殻機動隊 SAC_2045』——SFラーメン、てんこ盛りセット
 士郎正宗の世界展——バベルの塔の崩壊と、AIたちの静かな生存戦略
あとがき
後付

近代日本は「構造的」に腐る〜攻殻機動隊から読む文治主義の危険性〜

¥0価格
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